要点まとめ
- — 遺言は要式行為です。 台湾民法が認めるのは、自筆証書・公正証書・秘密証書・代筆・口授の5方式のみで(第1189条)、法定の要件を1つでも欠くと遺言全体が無効となるおそれがあります。
- — 満16歳以上であれば遺言ができます。 ただし、監護宣告(日本の後見開始の審判に相当)を受けた人はできません(第1186条)。
- — 必要な証人の数は方式によって異なります。 公正証書・秘密証書・口授は2人以上、代筆は3人以上です。相続人、受遺者、その配偶者および直系血族は証人になれません(第1198条)。
- — 最も勧められるのは公正証書遺言です。 方式の不備が起こりにくく、後日の立証にも強い一方、費用と手間がかかります。
- — 相続人以外の人に財産を残すこと(遺贈)は可能です。 ただし特留分を侵害することはできず、侵害された相続人は扣減(減殺)を請求できます。
- — 兄弟姉妹の特留分は廃止されます。 改正後の民法第1223条は公布の6か月後(2027年2月17日)に施行されます。新旧どちらの法が適用されるかは、遺言の作成日ではなく被相続人の死亡時で決まります。
- — 遺言で遺言執行者を指定できます。 未成年者、監護宣告または補助宣告を受けた人は就任できません(第1210条)。
なぜ遺言を作るのか
台湾では、これまで遺言の作成はそれほど一般的ではありませんでした。伝統的に死を語ることが避けられ、遺言や死後の財産の扱いに自ら向き合う人が少なかったことが、その一因です。
しかし近年は社会の意識が変わり、遺言への抵抗感は薄れてきました。遺言は自分のための備えであるだけではありません。遺産の分け方をあらかじめ明確にしておくことで、相続人の間で争いが起こる可能性を下げ、家族の関係が遺産をめぐって損なわれるのを防ぐことに、より大きな意味があります。
遺言の本当の意義は、自分の財産を、法律が認める範囲で自分の意思どおりに引き継がせ、残された人たちの争いを減らすことにあります。
本稿は上・下の2回に分けます。上編では遺言の成立要件と種類を、下編では遺言の執行方法と関連する法律・税務の問題を取り上げます。
一、遺言がない場合、遺産はどう分けられるか
遺言を残さずに亡くなった場合、実務上、遺産の処理方法は2つあります。
- 相続人が話し合いで遺産の分け方を決める(遺産分割協議)。
- 分け方について合意できないときは、相続人の誰からでも裁判所に遺産分割の裁判を求めることができる。
相続人の関係が良好で協議できるなら1の方法になります。しかし相続人のうち1人でも同意しなければ、裁判所に委ねるほかありません。裁判所は原則として、民法相続編の定める法定相続分(台湾法では「応継分」)を基準に分割します。主な組合せは次のとおりです(民法第1138条、第1144条)。
| 相続人の組合せ | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者と子が人数で均等に分ける |
| 配偶者と父母 | 配偶者 1/2、父母が合わせて 1/2 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者 1/2、兄弟姉妹が合わせて 1/2 |
| 配偶者と祖父母 | 配偶者 2/3、祖父母が合わせて 1/3 |
| 配偶者のみ(他の順位の相続人がいない) | 配偶者がすべて相続する |
| 配偶者がいない | 子、父母、兄弟姉妹、祖父母の順で、最も先の順位の者が均等に相続する |
「法律で分け方が決まっているのなら、なぜ遺言が必要なのか」と思う方もいるでしょう。しかし現行民法の定めには、次のような問題が残ります。
- 法定相続分が、被相続人の希望や計画に合うとは限らない。
- 民法が定めるのは遺産全体に対する各相続人の抽象的な割合だけで、誰がどの財産を取得するかは定めていない。遺言がなければ、相続人全員の協議か裁判所の分割判決に頼ることになる。
- 遺言がなければ、相続人以外の第三者に遺産の一部を取得させることができない。
整理すると、遺言の役割は次の3点です。
- — 相続分の指定:各相続人の取り分の割合を調整する
- — 遺産分割方法の指定:各相続人が具体的にどの財産を取得するかを指定する(民法第1165条)
- — 遺贈:相続人以外の第三者にも遺産の一部を取得させる
いずれも特留分に関する規定に反しない範囲で行う必要があります(民法第1187条)。
二、有効な遺言の作り方
遺言は一般の契約とは異なります。契約は当事者の意思が合致すれば、書面がなく口頭だけでも成立し効力を生じることが多いのに対し(コンビニでの買い物がその例です)、遺言は「要式行為」であり、法律の定める方式に従わなければなりません。法定の要件を1つでも欠けば、遺言全体が無効となるおそれがあります。
まず、誰が遺言できるか。 遺言をするには遺言能力が必要です。満16歳に達した人は、法定代理人の同意なしに遺言ができます。ただし、監護宣告を受けた人は遺言ができません(民法第1186条)。
台湾民法が認める遺言の方式は、次の5つだけです(第1189条)。
| 遺言の方式 | 証人 | 公証人 | 誰が内容を書くか | 条文 |
|---|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言(自書遺囑) | 不要 | 不要 | 遺言者が全文を自書する | 第1190条 |
| 公正証書遺言(公證遺囑) | 2人以上 | 必要 | 遺言者が口述し、公証人が筆記する | 第1191条 |
| 秘密証書遺言(密封遺囑) | 2人以上 | 必要 | 本人でも他人でもよい。遺言者が署名して封をする | 第1192条 |
| 代筆遺言(代筆遺囑) | 3人以上 | 不要 | 遺言者が口述し、証人の1人が筆記する | 第1194条 |
| 口授遺言(口授遺囑) | 2人以上 | 不要 | 証人の1人が筆記する、または全体を録音する | 第1195条 |
(一)自筆証書遺言
遺言者が遺言の全文を自書し、年月日を記載して、自ら署名します。加除や訂正をしたときは、その箇所と字数を付記し、別に署名しなければなりません。
注意:全文を本人が自書する必要があります。他人による代筆も、パソコンで作成して印刷することも認められません。
(二)公正証書遺言
遺言者が2人以上の証人を指定し、公証人の面前で遺言の趣旨を口述します。公証人がこれを筆記し、読み聞かせ、説明したうえで、遺言者が承認した後、年月日を記載し、公証人、証人および遺言者がそろって署名します。遺言者が署名できないときは、公証人がその事由を記載し、指印で代えます。
注意:費用は高めですが、方式の面では最も確実です。
(三)秘密証書遺言
遺言者が遺言書に署名して封をし、封じ目に署名したうえで、2人以上の証人を指定して公証人に提出し、自己の遺言である旨を申述します。本人が書いたものでないときは、筆記した人の氏名と住所も申述します。公証人が封紙に提出の年月日と遺言者の申述を記載し、遺言者および証人とともに署名します。生前に遺言の内容を明かさずに済む点が特徴です。
注意:遺言の内容そのものは自書でなくてもかまいません。封のある遺言書は、親族会議の席上または裁判所の公証処でなければ開封できず、開封時には記録を作成する必要があります(第1213条)。秘密証書遺言が法定の方式を欠いていても、自筆証書遺言の方式を備えていれば、自筆証書遺言としての効力があります(第1193条)。
(四)代筆遺言
遺言者が3人以上の証人を指定して遺言の趣旨を口述し、証人のうちの1人が筆記し、読み聞かせ、説明します。遺言者が承認した後、年月日と代筆者の氏名を記載し、証人全員と遺言者がそろって署名します。遺言者が署名できないときは、指印で代えます。
注意:代筆遺言は、単に「誰かに書いてもらう」だけでは足りません。3人以上の証人が必要で、遺言者が言葉で口述し、上記の法定の手続をすべて踏む必要があります。
(五)口授遺言
生命の危急その他の特別な事情により、他の方式では遺言ができない場合に限って認められます。方法は2つあります。1つは、2人以上の証人を指定して遺言の趣旨を口授し、そのうちの1人が正確に筆記して年月日を記載し、他の証人とともに署名する方法です。もう1つは録音による方法で、遺言者が遺言の趣旨、氏名および年月日を口述し、証人全員が遺言が真正である旨と自己の氏名を口述して、その全部を録音し、その場で封をして、封じ目に証人全員が署名します。
注意:口授遺言は、遺言者が他の方式で遺言できるようになった時から3か月が経過すると効力を失います(第1196条)。また、証人の1人または利害関係人が、遺言者の死亡後3か月以内に親族会議に提出して、その真否の認定を受けなければなりません(第1197条)。
遺言の証人になれない人
次の人は遺言の証人になることができません(民法第1198条)。
- — 未成年者(18歳未満)
- — 監護宣告または補助宣告を受けた人
- — 相続人、その配偶者または直系血族
- — 受遺者、その配偶者または直系血族
- — 公証人または公証の職務を代行する者の同居人、補助者または被用者
三、最も勧められる方式:公正証書遺言
上記5つの方式は、法定の要件を満たしていれば効力は同じで、どれかが他より強いということはありません(ただし口授遺言は3か月の経過で失効することがあります)。そのうえで、次の理由から、公正証書遺言は後日の紛争を最も避けやすい方式といえます。
| 区分 | 項目 | 説明 |
|---|---|---|
| 長所 | 法定の要件を欠きにくい | 公証人が法定の手続に従って作成するため、方式違反が起こりにくい。 |
| 長所 | 法的助言をあわせて受けられる | 通常は事前に弁護士や地政士などの専門家に依頼して財産目録を整理し、法的助言を受けるため、財産の記載漏れや特留分の侵害を避けられる。 |
| 長所 | 後日の立証がしやすい | 遺言時の意思表示と法定の手続に公証人が関与し、公正証書が作成されるため、遺言の有効性を立証しやすい。 |
| 短所 | 費用が高い | 公証費用が必要。費用は目的の価額に応じて算定されるため、遺産の価額が高いほど増える可能性がある。 |
| 短所 | 手続が煩雑 | 身分、財産、相続人に関する資料を用意し、法律に従って2人以上の証人を手配する必要がある。 |
| 短所 | 秘密性が低い | 遺言の内容を公証人と証人に伝える必要がある。 |
もちろん、「公正証書遺言なら絶対に争われない」というわけではありません。遺言の内容が法律に反する場合、特留分を侵害する場合、あるいは遺言時の意思能力に実際に争いがある場合には、訴訟になる可能性があります。
方式の不備と後日の立証をめぐる争いを減らすという観点からは、公正証書遺言が通常もっとも堅実で、紛争になる可能性の低い方法です。
四、相続人以外の人に遺産を残せるか。特留分の問題は
結論から言えば、残せます。
例を挙げます。甲は結婚していませんが、20年間ともに暮らしてきたパートナーの乙がいます。乙は法律上、甲の配偶者でも法定相続人でもないため、甲が亡くなっても、長年一緒にいたというだけで当然に遺産を取得することはありません。しかし甲は遺言によって、財産の一部、あるいは相当な割合を乙に遺贈することができます。同じように、友人、長年介護をしてくれた人、公益団体などにも遺贈できます。
ここで特に注意が必要なのが、「特留分」です。
特留分とは、平たく言えば、法律が一定の相続人のために確保している最低限の取り分です。日本法の遺留分に相当します。
たとえ遺言に「私の死後、全財産を友人Aに与える」と書いてあっても、その遺言は有効です。ただし、特留分を有する相続人が特留分の侵害を主張すれば、民法第1225条により扣減権(特留分を侵害する遺贈の減殺を求める権利)を行使でき、友人Aは取得した遺産の一部をその相続人に返さなければなりません。相続人が主張しなければ、友人Aは遺産の全部を取得できます。
五、誰に相続権があり、誰に特留分があるか
まず重要な考え方を押さえます。特留分があるのは、実際に相続人となった人だけです。
そのうえで、問題を2つに分けます。第一に、誰に相続権があるか。第二に、相続人はどれだけの特留分を主張できるか。
誰に相続権があるか
相続に登場する主な人を挙げます。
- — 被相続人(亡くなった人)
- — 被相続人の配偶者(以下「配偶者」)
- — 被相続人の直系卑属(子、孫など。以下まとめて「子」)
- — 被相続人の父母(以下「父母」)
- — 被相続人の兄弟姉妹(以下「兄弟姉妹」)
- — 被相続人の祖父母(以下「祖父母」)
被相続人の死亡時に配偶者が生存していれば、配偶者は必ず相続人になります(相続放棄をした場合や相続権を失った場合を除きます)。
配偶者以外の相続人の順位は、①子、②父母、③兄弟姉妹、④祖父母です。先の順位に相続する人がいれば、後の順位には相続権がありません(民法第1138条)。
たとえば、もともと子が10人いて、そのうち9人が被相続人より先に亡くなっていても、1人でも生存していれば、父母に相続権はありません。同様に、父母のどちらか1人でも生存していれば、兄弟姉妹に相続権はありません。なお、子が被相続人より先に亡くなっている場合は、その直系卑属(たとえば孫)が代襲相続(台湾法では「代位繼承」、第1140条)し、この場合も父母に相続権はありません。
表にまとめると次のとおりです(「—」はその順位に該当者がいないこと、たとえば死亡している、もともといないことを示します)。
| ケース | 配偶者 | 子 | 父母 | 兄弟姉妹 | 祖父母 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 相続する | 相続する | 相続権なし | 相続権なし | 相続権なし |
| 2 | 相続する | — | 相続する | 相続権なし | 相続権なし |
| 3 | 相続する | — | — | 相続する | 相続権なし |
| 4 | 相続する | — | — | — | 相続する |
| 5 | 全部相続 | — | — | — | — |
| 6 | — | 相続する | 相続権なし | 相続権なし | 相続権なし |
| 7 | — | — | 相続する | 相続権なし | 相続権なし |
| 8 | — | — | — | 相続する | 相続権なし |
| 9 | — | — | — | — | 相続する |
相続人はどれだけの特留分を主張できるか
民法第1223条により、特留分は各相続人の法定相続分を基礎として計算します。
| 相続人 | 特留分(現行法) | 2027年2月17日以降 |
|---|---|---|
| 子(直系卑属) | 法定相続分の 1/2 | 変更なし |
| 父母 | 法定相続分の 1/2 | 変更なし |
| 配偶者 | 法定相続分の 1/2 | 変更なし |
| 兄弟姉妹 | 法定相続分の 1/3 | 廃止(特留分なし) |
| 祖父母 | 法定相続分の 1/3 | 変更なし |
たとえば、被相続人に配偶者と子2人がいる場合、3人の法定相続分は各 1/3 で、特留分は各 1/3 × 1/2 = 1/6 です。
六、最新の改正:兄弟姉妹の特留分が廃止される
近年の相続法の中でも非常に重要な改正です。立法院は2026年7月28日、民法第1223条を改正して「兄弟姉妹の特留分」を削除する法案を三読で可決し、あわせて民法相続編施行法第12条を新設しました。総統は2026年8月17日にこれを公布し、公布の6か月後(2027年2月17日)に施行されます。
誤解されやすい点:廃止されるのは「兄弟姉妹の特留分」であって、「兄弟姉妹の相続権」ではありません。兄弟姉妹は引き続き第3順位の法定相続人であり、法定相続分も変わりません。ただし新法の施行後は、被相続人が遺言で遺産を他の人に残した場合、兄弟姉妹は原則として特留分を主張できなくなります。
新旧の法が切り替わる時期に、どちらが適用されるかを決める基準は1つだけです。被相続人が死亡した時点(相続開始の時点)です。遺言は遺言者の死亡時に初めて効力を生じ、相続も死亡時に開始するからです。したがって、
- — 被相続人が2027年2月17日以降(当日を含む)に死亡した場合:新法が適用され、兄弟姉妹は原則として特留分を主張できません。遺言が新法の施行前に作成されていても同じです。
- — 被相続人が2027年2月17日より前に死亡した場合:旧法が適用され、兄弟姉妹(相続人である場合)は特留分を主張できます。遺産をいつ処理するか、いつ登記するかは関係ありません。
七、「遺言執行者」とは
遺言を書き終えた後、多くの人が見落とす大事な問題があります。「自分が死んだ後、誰が遺言どおりに遺産を分ける責任を負うのか」という点です。
その役割を担うのが「遺言執行者」です。遺言者は、遺言で遺言執行者を指定することも、その指定を他人に委託することもできます(民法第1209条)。
遺言執行者の仕事には、たとえば次のようなものがあります。
- — 遺言の内容の確認
- — 遺産の調査。必要に応じて遺産目録を作成し、相続人に交付する
- — 関係する相続人、受遺者への通知
- — 遺産税の申告
- — 不動産に関する登記の手続
- — 銀行預金、株式その他の財産の処理
- — 遺言に従って、取得すべき人に財産を引き渡すこと
法律上、遺言執行者は弁護士でなければならないという定めはありません。未成年者、監護宣告または補助宣告を受けた人でなければ、誰でも就任できます(第1210条)。弁護士、地政士、会計士、親族や友人、さらには相続人自身を指定することもできます。
もっとも実務では、遺言を法定の手続に従って円滑に執行するため、弁護士、地政士、会計士などの専門家を遺言執行者に指定するのが通常です。
下編:台湾での遺言の執行:遺産税の申告、相続登記と遺贈の手続(下)
本稿の法令は2026年10月1日現在のものです。台湾法(中華民国法)が適用される遺言を対象としています。
共同執筆:邱暐倫 地政士|遠東地政士事務所 代表
よくある質問(FAQ)
自筆証書遺言をパソコンで作成できますか
できません。自筆証書遺言は、遺言者が全文を自書し、年月日を記載して、自ら署名しなければなりません(民法第1190条)。加除や訂正をしたときは、その箇所と字数を付記して別に署名する必要もあります。パソコンで作成して印刷したものや、他人が代筆したものは、自筆証書遺言の方式を満たしません。自書が難しい場合は、公正証書遺言、秘密証書遺言または代筆遺言を検討できます。この3つは本人が全文を自書することを求めませんが、それぞれ証人と手続の要件があります。
代筆遺言には証人が何人必要ですか
3人以上です。遺言者が3人以上の証人を指定して遺言の趣旨を口述し、証人のうちの1人が筆記し、読み聞かせ、説明します。遺言者が承認した後、年月日と代筆者の氏名を記載し、証人全員と遺言者がそろって署名します(民法第1194条)。公正証書遺言、秘密証書遺言、口授遺言は2人以上です。証人の数が足りない場合や、証人に資格がない場合は、遺言の効力に影響します。
遺言の証人になれないのは誰ですか
民法第1198条により、次の5種類の人は証人になれません。未成年者、監護宣告または補助宣告を受けた人、相続人およびその配偶者または直系血族、受遺者およびその配偶者または直系血族、公証人または公証の職務を代行する者の同居人・補助者・被用者です。実務で最も多い誤りは、自分の子、子の配偶者、あるいは遺贈を受ける相手を証人にしてしまうことです。
遺産の全部を相続人以外の人に残せますか
残せます。同居のパートナー、友人、介護者、公益団体など、相続人以外の人に遺言で遺贈することができ、その遺言は有効です。ただし、特留分を有する相続人が侵害を主張すれば、民法第1225条により扣減権を行使でき、受遺者は一部を返さなければなりません。相続人が主張しなければ、受遺者は全部を取得できます。
特留分はどれだけですか。どう計算しますか
各相続人の法定相続分が基礎になります。子、父母、配偶者は法定相続分の2分の1、兄弟姉妹と祖父母は法定相続分の3分の1です(民法第1223条)。たとえば被相続人に配偶者と子2人がいる場合、3人の法定相続分は各3分の1、特留分は各6分の1です。特留分があるのは実際に相続人となった人だけです。兄弟姉妹の特留分は2027年2月17日から廃止されます。
2027年に新法が施行された後も、兄弟姉妹は特留分を主張できますか
遺言の作成日ではなく、被相続人の死亡時で決まります。被相続人が2027年2月17日以降(当日を含む)に死亡した場合は新法が適用され、兄弟姉妹は原則として特留分を主張できません。遺言がそれ以前に作成されていても同じです。それより前に死亡した場合は、その時点で相続が開始しているため旧法が適用され、兄弟姉妹が相続人であれば特留分を主張できます。遺産の処理や登記の時期は関係ありません。改正で削除されるのは特留分だけで、兄弟姉妹の相続権と法定相続分は変わりません。
遺言執行者は弁護士でなければなりませんか
いいえ。法律が定めているのは、未成年者、監護宣告または補助宣告を受けた人は遺言執行者になれないということだけです(民法第1210条)。弁護士、地政士、会計士、親族や友人、さらには相続人自身を指定することもできます。遺言者は遺言で指定することも、指定を他人に委託することもできます。実務では、遺言を法定の手続に従って円滑に執行するため、弁護士、地政士、会計士などの専門家を指定するのが通常です。
関連分野:家事事件(離婚・親権・相続)
本稿は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言ではありません。具体的なご相談は当事務所までお問い合わせください。